2016年05月24日

醤油の種類が、「はま寿司」を急成長させた!?


「はま寿司」の成長が著しい。

この調子を維持すれば、
業界トップに立つ日がやって来るかもしれない。

なぜ、ここまで急成長したのか。

経営母体である「ゼンショーホールディンクス」の
巧みな戦略が功を奏している。

さまざまな業態で蓄積してきた、
市場分析力、商品開発力に加え、
多店舗展開のノウハウを有していることは大きい。

「すき家」「なか卯」「ココス」
「ビッグボーイ」「ジョリーパスタ」など、
多種多様なブランドを展開している。

こうした強靭な経営力が、
「はま寿司」を急成長させているのだが、
店舗運営の細部においても、巧みな戦術を披露している。

「はま寿司」は、定番の寿司の種類が多い上、
何種類かの醤油を用意して、
客の多様な志向に応えようとしている。

「スシロー」「くら寿司」「かっぱ寿司」などでは、
醤油1種類と「甘ダレ」を置いている程度だが、
「はま寿司」は、醤油4種類と
「ポン酢」「甘ダレ」を用意している。

醤油は、「特製だし醤油」「北海道日高昆布醤油」
「九州甘口さしみ醤油」、そして地域によって、
「濃口醤油(東エリア)」と「甘口醤油(西エリア)」の
どちらかを揃えている。

これが、何を意味するのか。

好みの醤油が選べる、という単純な話ではない。

ネタによって替えることができるだけではなく、
寿司としての味そのものを変えてしまうのである。

同じネタでも、
醤油を替えるだけで、まったく違う味となる。

考えれば当然の話だが、醤油が違うだけで、
「美味しい」「マズい」が分かれてしまうのである。

昔聞いた、寿司屋の大将の言葉を思い出した。

「寿司屋に客が来なくなったら、醤油を替えれば良い」。

ネタの違いは素人にはわかりづらいが、
醤油の違いは誰でもわかり、
客の好みを左右するということである。

醤油は寿司にとって、
それだけ重要な役割を果たすのである。

もし、1種類しかなく、口に合わなければ、
ネタがどれだけ良くでも、二度と行かないのである。

「はま寿司」の醤油は、「ポン酢」を入れて5種類。

単純に考えると、客の好みに合う確率は5倍。
混ぜて使えば、さらに数倍。

「はま寿司」の味を好きだと思う人が増えるのは、
当然のことなのである。

なぜ、他の店がやらないのかが不思議なくらいである。

   




人気ブログランキングに参加しています。
1クリックをお願いします。


ブログランキング



posted by 佐藤きよあき at 09:42| Comment(0) | TrackBack(0) | マーケティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月17日

なぜ、吉野家は「アタマの大盛」をメニューに加えたのか?


永遠に続くがごとく、熾烈な戦いを続けている牛丼業界。

トップを走る「すき家」に対し、
先駆者「吉野家」も負けてはいない。

メニューが多く、
ランチ需要や家族連れを取り込んだ「すき家」は強い。

だが、「吉野家」には“マニア”がついている。

「牛丼=吉野家」で、
他店では絶対に食べないという人も多い。

“マニア”が「吉野家」の強みなのだが、
その絶対数は業界トップに返り咲くほどではない。

マニア以外をもっと取り込む必要がある。

そこで、女性ウケを狙った野菜メニューを開発したり、
290円の朝食メニューを用意したり。

最近では、豚丼も復活させた。

これにより、業績は回復傾向にある。

だが私は、「吉野家」のメニューを見ていて、
まったく別の業績回復策を見つけた。

牛丼の「アタマの大盛」が、追加されていたのである。

「アタマの大盛」とは、ご飯の量は“並”と同じで、
肉が“大盛り”と同じになっている。

このメニューは、本来、裏技・裏メニューであり、
マニアがよく注文するものである。

この裏技を知っている人でも、マニアでなければ、
注文しづらいメニューである。

マニアと見られることへの抵抗感や恥ずかしさがある。

それがメニューに加わったということは、
マニアではない潜在需要を見抜いたのかもしれない。

興味はあるが注文できなかった、
マニア寄りの客を取り込もうとしたのではないか。

メニューに載っていれば注文しやすく、客単価もあがる。

……と、私は読んでいるのだが、「吉野家」がすべてを
計算づくでやっているのかどうかはわからない。

だが、ここに
業績回復の大きなヒントがあるのではないか。

裏技・裏メニューを少しずつ表に出すのである。

牛丼のご飯を少なめにした「軽いの」。
つゆの量を調節した
「つゆだく」「つゆだくだく」「つゆぬき」。
ねぎの量を変える「ねぎだく」「ねぎぬき」。
赤身が多めの肉を使う「赤多め」や
脂のない肉にする「とろぬき」。

これらの中から、需要が見込めそうなものを
“小出し“にするのである。

すべてを出してはならない。
マニアの領域を荒らしては、マニアが離れてしまう。

ごく普通の客が馴染みやすいものだけを出すのである。

マニアには憧れるが、マニアにはなれない客層は多い。

そんな客層を呼び込めば、
他店とは異質な独自の販売戦略となり、
大きな差別化が図れるのではないか。

   




人気ブログランキングに参加しています。
1クリックをお願いします。


ブログランキング



posted by 佐藤きよあき at 14:10| Comment(0) | TrackBack(0) | マーケティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月14日

“ほか弁屋”の「のり弁当」は、なぜ売れ続けているのか?


庶民なら一度は食べたことがあるであろう、
ほか弁屋の「のり弁当」。

ご飯の上に、
昆布の佃煮もしくは醤油和えのかつお節をのせ、
焼き海苔をかぶせた本体。

その上に、白身魚のフライと竹輪の天ぷら、
きんぴらがのり、さくら漬けか大根の甘酢漬けが
添えられている。

見ためにはチープだが、
間違いのない安定した美味しさがあり、
長年に渡って人気商品である。

「ほっかほっか亭」「ほっともっと」「かまどや」などの
チェーン店では、300〜340円程度で販売されている。

「のり弁当」が一番よく売れるという店も多い。

この安さも不況の中では人気の要因ではあるが、
それだけではない。

「すごく美味しい」「めっちゃ旨い」
という存在ではないが、
心にほのかな明かりが灯るような、温かな味がする。

特別なものは何も入っていない。

安い素材だが、もっとも美味しい調理法を選んでいる。

淡白な白身魚は、
フライにすることで脂の旨味を足している。

竹輪はそのままでは“おかず”になりにくいが、
天ぷらにすることで、練り物のコクを引き出している。

ごぼうと人参のきんぴらは、和総菜の定番。

この弁当のもっとも美味しいところは、
昆布もしくはかつお節と海苔とご飯の組み合わせである。

白ご飯に合うものの王道として、
昔から親しまれてきた味である。

安っぽいと感じる人もいるだろうが、
庶民ならどこか懐かしく、ガツガツと食べてしまうほど、
美味しいはずである。

ほか弁屋の人は言う。

「お金のない人にも、しっかりと食べてもらいたいから、
安い価格で提供している」。

これがほか弁屋の原点であるがゆえに、
いまだ安く提供しているのである。

この信条は、どこか母親に通ずるものがある。

お金もなく、決して料理上手とも言えない母親が、
子どもの成長を願い、不器用ながらも
一所懸命に作ってくれた弁当に似ている。

アルマイトの弁当箱に、ギュウギュウに詰められたご飯。

白ご飯では寂しいから、昆布や海苔をのせる。

少ないおかずを豪華に見せるために、ご飯の上に並べる。

腹を空かせた子どもには、なによりのごちそうである。

「のり弁当」には、そんな郷愁がある。

母親の愛情のようなものを感じるから、
美味しいのである。

   




人気ブログランキングに参加しています。
1クリックをお願いします。


ブログランキング



posted by 佐藤きよあき at 16:15| Comment(0) | TrackBack(0) | マーケティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする